「NHKを受信できないテレビでの受信料を支払わなくていい」という判決が2020年6月26日に下されました。
NHKの受信料は「月額1,310円、BS/CS付きなら月額2,280円」です。毎月固定で掛かる費用としては、正直無視できませんよね。
今回の判決での着眼点は今まではテレビを設置した時点で受信料の契約義務が発生していたのが、”NHKを受信できない”テレビを設置している家庭は受信料の支払い義務が発生しないとなりました。
今までもNHKは受信料の支払いを巡って、企業や民間人などを相手に何度も裁判を重ねています。
しかし,受信料未払い問題について「法律的に支払義務があるのかないのか・もし支払わないでい続けるとどうなるのか」などよく理解していない方も多いと思います。
そこで、今回は”NHK受信料の支払い義務の可否”についてまとめました。さらに、NHKを受信できなくなる話題の”イラネッチケー(IRANEHK)”についても解説しました。
- NHKを受信できないテレビの受信料を巡る裁判の概要と判決
- NHK受信料の支払いでなぜ論争になるのか
- NHK受信料支払い義務に関するまとめ
- テレビはあるけど、NHKの受信料を支払いたくない場合
- NHKが映らない業務用テレビを購入する
- チューナーだけ壊す
- 受信料拒否が出来る最良の方法は「テレビを持たない」
- まとめ
NHKを受信できないテレビの受信料を巡る裁判の概要と判決
東京都在住の女性が”NHK放送を視聴できないテレビを自宅に設置し、NHKを相手取り受信契約を締結する義務がない”ことの確認を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であり、女性の訴えを認めました。
女性はもともと「NHKによる受信料の強制徴収に批判的な意見」を持っていました。
インターネット上で、筑波大准教授がNHKの信号だけを減衰させるフィルター(イラネッチケー(IRANEHK))を開発していることを知り、連絡。
そして、2018年10月、准教授が代表理事を務めるNPOからフィルター(イラネッチケー)を取り付けたテレビを購入し、自宅に設置したとのことです。
NHKは、フィルターや電波の増幅器を使うなどの実験をした結果、原告のテレビでは「NHKを受信できる状態に簡単に復元できる」と主張し反論。
しかし、判決としては「増幅器の出費をしなければ受信できないテレビは、NHKを受信できる設備とはいえない」と判断し、NHKの主張を退けました。
判決と今回の裁判をまとめると下記のようになります。
「イラネッチケー(IRANEHK)」をただ設置すれば受信できないと見なせるのか?
結論を先にいうと、イラネッチケーをテレビに設定だけで受信料の支払い義務がなくなるとは言い切れません。自分で加工して容易に設定する方法ではダメといわれる可能性があります。
現状でいえる確実な設定方法は下記になります。
業者に加工依頼して、テレビにイラネッチケーを搭載してもらう(素人が簡単には取り外せないことが前提)
実は、今までイラネッチケーを取り付けることでNHK受信契約が無効と争った裁判で、受信契約を結ばなくてよいという判決が出たことはありません。
2016年に東京地裁で出た判決は、
イラネッチケーを容易に取り外しができるという理由で、NHK受信契約を解約する理由にはあたらない
とされています。
さらに、イラネッチケーを接着剤などで固定して容易に外れないようにした状態にしたうえで、NHK受信契約の解約を争う裁判が行われましたが、こちらもNHK側の「固定されていても外すことが可能」という立証が認められてしまい、解約は認められませんでした。
今回の判決では、女性が設置したテレビを「NHK放送を受信できる設備とは言えない」と指摘。復元するのも困難だとして、NHKの主張を退けました。
NHK側の主張
電波を増幅するブースターを取り付けたり、工具を使って復元したりすれば、放送を受信できる
小川理津子裁判長は
ブースターがなければ映らないのであれば契約義務はない。自分で加工をしたわけではなく、専門知識のない女性に復元は困難だ
とのことなので、前提として、”簡単にイラネッチケーを取外しできる状態でない”ことが重要になります。
しかし、地裁レベルなので、控訴審で逆転される可能性が残っています。
NHK受信料の支払いでなぜ論争になるのか
そもそもなぜNHKの受信料に関して、毎回論争になるかというと,”実は法律上は直接的には受信料支払い義務というのは定められていない”ことにあります。
放送法64条の解釈に関して
放送法64条受信契約に関し、次のように規定があるため、NHKの受信に関して、論争がやみません。
放送法64条によると
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない
※協会はNHKを指しています。
受信契約を結ばない限りは,受信料支払い義務は発生しない
法律上は,「NHKが見れる状態の大多数の民間用テレビを持っている家庭は受信契約をしなければならない」ことになります。
裏を返すと「受信契約を結ばない限りは,受信料支払い義務は発生しない」ともいえます。さらに、この規定は違反しても罰則などは一切ありません。
NHKと契約をしないことは,法律違反ではあるけど,違反に対するペナルティはないということになります。
意外とこの事実を知らない方はまだ多いようです。
NHKが受信できる環境であればNHK次第で契約は避けられない
先に「契約違反をしても罰則はない」と説明しましたが、契約しないことが許されるかというと、必ずしもそうではありません。
民法414条2項但書に規定されている意思表示に代わる裁判によって、強制的に契約締結することが可能になっております。
現状では、NHKが見れる環境の場合は「契約しないしない」と言っていても、NHK次第でいくらでも契約させることができます。それだけ、NHKには強力な権限が与えられています。
なので,契約しないとごねてみても,NHKが本気出せば契約するしかないというのが結論です。
したがって、テレビが無い環境であれば、支払う義務はありませんが、テレビがある環境の場合は、NHKの受信ができる状態であれば、支払わざるを得ません。
NHKが受信出来る環境の人の立場は弱く、単なるゴネは基本通用しない
NHK受信料支払い義務に関するまとめ
上記条件に当てはまっていれば、もちろん見れる環境に無いので支払い義務はありません。この時点で多くの方が心折れるかと思います。
NHKが受信できて”全額免除”される対象の人
NHKが受信できて”半額免除”される対象の人
テレビはあるけど、NHKの受信料を支払いたくない場合
テレビ以外に「パソコン・カーナビ・携帯」などでNHKが全く受信できない環境の方を対象として、設定方法をまとめました。また、今回ごねるという方法は省きました。
NHKが映らない業務用テレビを購入する
「BZ35F/BZシリーズ」は、BRAVIAシリーズ初の“業務用ディスプレイ”という位置付け。最大の特徴は「テレビチューナーを搭載していない」という点で、NHKだけでなく“テレビ放送全般が映らない”という思い切った仕様です。つまり、PCのディスプレイ替わりというものです。
チューナーだけ壊す
テレビ受像機を捨てるのがもったいない人は、チューナーだけ壊すという方法もあります。
NHKとの裁判でNHK側が出してきた東京大学の玉井克哉氏の意見書では、チューナーが壊れている場合は契約の義務がないと書かれています。
よって、チューナーを破壊すれば、NHKとの契約そのものを解消できると言えます。
ただし、薄型テレビに内蔵しているチューナー回路はBS/CS/地上全てと繋がっているので、破壊すると地上波も視聴不可能になってしまいます。
受信料拒否が出来る最良の方法は「テレビを持たない」
今回の件で、色々調べてみたものの、現状はテレビを持っている時点で民間人は圧倒的に不利です。通常のテレビはNHKが視聴できる環境であるのが普通ですからね。
これだけ不利な状況でどうしても契約したくないなら、テレビを持たないことが最良の対策です。
まとめ
NHKの受信料をめぐる議論はかれこれ何十年と続いており、今に始まった話ではありません。
抵抗するしないは個人の自由ですが、皮肉にも現状通常のテレビを持っている人はまずNHKが自動受信できるので立場が弱いことには変わりません。
また、例えばイラネッチケーなどのフィルターを見せて、「テレビはあるけど、イラネッチケーを使っているのでNHKは見れませんよ」などと言っても、簡単に取り外せている時点で墓穴を掘ることになりますので、通用しません。
私の個人的な意見としては、そもそもNHKの視聴で有料契約するなら受信するしないを自由に民間人が決定できる状態にしてほしいです。むしろ今の日本のIT技術でいくらでも契約しなければ見れなくする状況なんて簡単に設定できます。
今の状況の方がNHKにとっては収益面でメリットが多いので、敢えてしてないのでしょうが。
好きでもなく勝手に受信できる状態にしておいて、契約してねっていうのはやり方がズルく不満が出るのも当たり前と正直感じています。
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