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現役スピーカー設計者によるお役立ち情報発信ブログ

【Airpods Proレビュー・口コミ】おすすめイヤホン最高峰である理由を徹底解説

Airpods Pro

「イヤホン」を買う時は何を基準に判断していますでしょうか。

 

「他人のレビュー評価」をもとに購入を決める方が多いのではないかと思います。結論を先に言うと、それも一つの正解です。

 

もちろん評価が高ければそれだけ変な商品をつかまされなくて済むのでリスクは大幅に減ります。

 

でも、出来ればしっかりと商品を選ぶうえでの着眼点を知りたいですよね。現役の音響メーカー勤めで、スピーカ設計歴9年以上の私が「高性能のイヤホンを選ぶ基準・着眼点」をお伝えしたいと思います。

 

普段我々が何気なく音楽を聴いている「イヤホン」ってどういう仕組みで”音”が出ているか知っていますでしょうか。

 

今回はイヤホンの「音」のでる仕組みに関して、スピーカ設計者ならではの観点を入れて、解説します。

 

さらにAirpods Pro」を例に、イヤホンを購入する際に「どのようなスペックを確認したら良いのか」について迷っている方にも役立つ情報を盛り込みました。

 

 

 本記事のターゲット

memo
  • イヤホンの構造や「音」の出る仕組み・原理を学びたい

  • イヤホン最高峰の「AirPods Pro」の魅力を詳しく知りたい人

  • 新しいBluetoothイヤホンを探していて迷っている方

イヤホンとは

イヤホン耳の仕組み

 

イヤホンは、再生装置や受信機から出力された電気信号を、耳(鼓膜)に近接した発音体(スピーカー)を用いて音波(可聴音)に変換する装置を組み合わせた機器となります。

 

もう少し簡潔に言うと、「外耳道に直接音を加える音響再生機器」になります。スピーカーと違って、空気中の音の伝搬が無いのが特徴です。

 

イヤホンのメリット

 

コンポなどのスピーカは距離が離れているので空気中の伝搬がありません。そのため、イヤホンは少ない出力で大きな音で聴くことができます。

 

更に、他の障害物や騒音の影響を受けにくいというメリットもあります。

 

音を出すための装置(ドライバー)も小型で済むので、高級な材料を贅沢に使うことも出来ます。このようにイヤホンならではのメリットもたくさんあります。

 

イヤホンのデメリット

・スピーカによる再生音の様な自然な音像定位や、前後感の再生ができない。
・重量や、圧迫感による不快感。
・耳とイヤピースのフィット感の違いにより、音質が変化する。

 

イヤホンは音像定位が不得意

スピーカとイヤホンの大きな特徴の違いは「音像定位の違い」にあります。普段私たちは、目をつぶってもどこから音が聞こえるか360°の方向に対して位置がわかりますよね。目の前で話している相手の声が後ろから聞こえる人はいないと思います。

 

このように、ある音源に対して、人間の認識できる音の空間的な像を音像と呼び、音の聞こえた方向や距離を知覚することを音像定位と言います。

 

実はイヤホンはこの音像定位の再生が不得意です。耳につけて直接音を鳴らしているので、フラットな音になってしまうという最大の欠点があります。

 

イヤホンは耳とのフィット感で”低音感”が変わる

イヤホンと耳とのフィット感は”低音感”に大きく影響を与えます。

 

人の耳の大きさや形はそれぞれ違うのでイヤーパッドやイヤピースと耳のフィット感が良くないと低音(バスドラの音)が聞こえにくくなってしまいます。

 

イヤホンを買うとイヤピースがS,M,Lサイズがパッケージで付いてくると思うので、必ず自分の耳に合ったサイズを確かめるようにしましょう。

 

ただし、あまりきついイヤーピースを長時間付けていると耳の不快感へも繋がります。

 

 

楽器の周波数

楽器の周波数

人間が音を聴くことができる周波数の可聴範囲は「20Hz~20KHz」です。先ほどイヤーパッド・イヤピースのフィット感が悪いとバスドラムの音が聞こえにくくなるといいましたが、周波数では「20~40Hz」付近になります。

 

バスドラム

バスドラム

 

バスドラムが鳴っていないと音が軽く聞こえます。ライブで例えるならば、ドラムの音で結構心臓にドーンとどっしり響いてくる音がありますよね。その音がバスドラムです。バスドラムが聞こえるかどうかで音色は大きく変わりますよね。

 

イヤホンの動作原理(ダイナミック型)

イヤホン

まずは我々が普段耳にしているスピーカーやヘッドホン、イヤホンの大半を占める基本構造は「ダイナミック型」と言われる構造です。

 

ダイナミック型は磁界の中でボイスコイルに音楽などの信号を流して、振動板を振動させることで音を出す方法です。

 

イヤホンの基本原理はフレミングの左手の法則を応用

スピーカ フレミングの左手の法則


中学校の時に理科で習ったことを思い出していただきたいです。磁界発生しているところに電流を流すとコイルはどうなりますか?

 

レミングの左手の法則により「力」が発生します。交流電流を流すので、その電流の流れに応じて、上下にコイル(ボイスコイル)が振動します。

 

この電流が流れる際に発生した力がボイスコイルの前面に接着されている振動板(やわらかいフィルムまたは紙などの材料)に伝わります。

 

するとその材料が振動することにより”音”が発生します。その音を私たちは聞き取って、音の良し悪しや大小などの細かい情報を聞き取っています。

 

また、この音を発生するやわらかい材料(振動板)の違いによっても音色は大きく変わります。大きく分けて一般的に使用される振動板の材料は「フィルム」か「紙」です。

 

更に、振動板のやわらかさの度合いによって音のでる周波数(帯域)が変わります。やわらかい材料を使うほど「低い音」がでます。逆に硬い材料を使うと「高い音」がでます。出したい帯域に応じて、材料の硬さを調整するのも設計の仕事になります。

 

イヤホンもスピーカーも基本的な音を出す原理は同じです。

 

中でもスピーカの大半占める構造であるダイナミック型は音楽信号を流していない時、ボイスコイルに力が発生せず、振動系の支持を柔らかくできるため、少ない歪みと広い再生周波数帯域が両立できる非常に優れた方式とされています。 

 

memo
  • イヤホンはダイナミック型の構造が基本
  • レミングの左手の法則を応用して「音」を発生させている
  • 「音」はやわらかい「フィルム材」や「紙」を用いている
  • 振動板の材料が「音質」に大きな影響を与える
  • やわらかい振動板では低い音がでる。硬い材料では高い音がでる。

Bluetoothイヤホンに求められる性能

 

もちろん理想のイヤホンは自分の満足できる音質で快適に聴き続けられるかにつきます。

 

その中で、途中で通信が途切れて音が途切れるようでは不快だし、耳から外れるようでは困ります。さらに、どんな外部の雑音にも左右されたくない場合には「ノイズキャンセル機能」も重要です。

 

イヤホンを選ぶ時には自分が何を重視するかを意識して決めましょう。

人気イヤホン「Airpods Pro」の実力を徹底解説

     

    AirPods Pro基本スペック

    Airpods proスペック

    Airpods proはダイナミック型構造

    Airpods pro

    Airpod Proも中に使用されているドライバーは”ダイナミック型”です。上の展開写真の右から2番目に見えているドライバーが音響装置になります。

     

    他社製のベンチマークする際によく参考にするのが「iFixit」のサイトです。分解サイトを見て写真を見ればだいたいの設計者はどんな構造で、どんな材料を使っているのか一目でわかります。興味がある方は一度調べてみると面白いですよ。

     

    AirPods Proの分解 - iFixit

     

    AirPods Proの音質の魅力は「振動板」と「イコライザー機能」

    airpods pro 分解

    Airpods Proが高音質である理由の一つには「振動板」があります。Airpods Proでは特殊な紙の振動板を使用しています。この振動板が高音質の秘密です。

     

    「機種名+振動板+分解」などで検索をかけて調べてみると分かるかと思いますが、数千円程度の値段で「紙の振動板」を使っているドライバーはほぼ無いです。

     

    大半が「単層のフィルム」です。「PET,PEI,PEN」などの材料が多いです。

     

    もし、購入を考えているイヤホンがあったら是非「振動板に何を使っているのか」を確認してみると参考になって、面白いですよ。音質でのおすすめ材料は「紙」振動板か多層のフィルムタイプです。

     

    「紙」の振動板を使ったイヤホンは耳馴染みが良く、心地よいメロディを楽しめますよ。

    AirPods Proにはアダプティブ「イコライゼーション」が搭載

    人の耳の形はそれぞれ異なり、耳穴の内側も異なっています。耳の中で、実際どのように響いているのかを内側のマイクで検出して、低域などを調整するのがこのイコライザー機能になります。

     

    ノイズキャンセル機能と合わせて、最も音質に影響があるのが中低域です。低域を単に前へ押し出すだけでなく、ボーカルを含めた音の分離度が、ワイヤレスでも損なわれずに耳にしっかり届き、高音質を再現しています。

     

    Airpods proの「通信の安定性」はトップレベ

    airpods pro

    AirPods proはやはり値段が高いだけあって、一つ一つのこだわりは凄いと思います。その高評価の理由の一つには「通信の安定性の高さ」にあります。

     

    身近な例でたとえると、地下鉄などの人が多い環境化でも音が途切れずに常に快適に使えるかという点で大変優れています。数千円の中国製のBluetoothイヤホンではここまでの快適性は残念ながら味わえません。

     

    電波の弱いBluetoothイヤホンだと、バッグに入れたiPhoneとの通信が不安定なものもありますが、AirPodsiPhoneがバッグに入っていても問題なく聞こえます。

     

    部屋の中で歩き回っても聞こえるので、かなり通信機能は向上しています。

     

    したがって、どんなに人が多く電波環境が悪くても音楽に集中することができます。

    AirPods Proは「ノイズキャンセル機能」も秀逸

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    Airpods Pro ノイズキャンセル

    赤色:AirPods Proで、紫色:WF-1000XM3(参考:RTINGS.com)

     

    AirPods ProとWF-1000XM3のノイズキャンセル機能の比較グラフを記載しています。グラフの下方に線があるとよりノイズキャンセル効果が高いといえます。

     

    特に着目してもらいたいのは「低域(20~200Hz付近)」です。低域の音はかなり耳に残ります。電車や車、飛行機のエンジン音の周波数帯になります。この音がかなり軽減されることが読み取れます。

     

    他の周波数帯では WF-1000XM3と大差はないと言えそうですが、ノイズキャンセル機能に関していえば、全体的には AirPods Proの方が優位であるといえそうです。

     

    AirPods Proのノイズキャンセリング機能は、内外のマイクを使って個人の耳に最適化されたことで、素晴らしい完成度の高さになっています。

     

    したがって、周りの音を完全に遮断して、音楽に没頭することが出来ます!

    「外部音取り込み機能」も優れている

    外部音取り込みモードは、いまやノイズキャンセリングイヤフォンに必須とも言える機能ですが、こちらも素晴らしい性能を誇っています。

     

    ノイズキャンセリング機能を抑え、外部の音を取り込むことが可能です。

     

    圧力を均一にする通気孔システムとソフトウェアの調整により、多少のノイズキャンセリングを維持し続けることが可能となっています。

     

    たとえば、車の多い街中を歩いている際にプリウスが後ろから近づいても気づくことができるし、電車に乗っているときにアナウンスを聞き逃さないようにすることもできます!

    Airpods Proはカナル型に変更となり「低域」の量感が大幅向上

    Airpods pro 装着感

    冒頭で耳の密閉度は低域感に影響を与えると説明しました。しかし、密閉度があがりすぎると低域感が出る反面、タッチノイズなどの装着不快感もあります。

     

    従来のAppleのイヤホンは全てイントラコンカ型といわれるイヤーピースが無いタイプでした。装着不快感が少ない分、低域の量感が足りなかったり、人によっては耳のサイズがあわずポロっと落ちやすい人もいました。

     

    今回は耳穴にサッと掛けるような従来の装着スタイルから一新して、しっかりはめ込むイヤーピース付き(=カナル型)に変更しているので、ポロっと耳から簡単に落ちることがありません。

    スピーカとヘッドホンの周波数特性の違い

    イヤホン周波数特性

    上のグラフはスピーカとヘッドホン・イヤホンの音圧の周波数特性を示しています。

     

    冒頭で楽器の周波数帯について簡単に解説した通り、広い周波数を網羅するほど色々な帯域の音が聞こえる意味と同義になります。この音圧の周波数特性を測定するには”無響室”と呼ばれる音の反射が無い環境下で測定します。

     

    イヤホン・ヘッドホンは、スピーカに比べ音響伝達経路が密閉されているため、周波数特性の特徴が大きく異なります。


    イヤホン・ヘッドホンの周波数特性の特徴としては、「弾性制御」であることが上げられます。

     

    つまり、共振周波数が中高域にあり、共振周波数以下の範囲で、振動系の機械インピーダンスの中でコンプライアンスが大部分を占めている状態となります。

     

    スピーカが質量制御で、共振周波数が低域にあり、共振周波数以上の範囲で質量リアクタンスが支配的であることと対照的です。ただし、このヘッドホンの特性は空気室の漏れがない場合であり、漏れがある場合は低域のレスポンスが大幅に下がります。

     

    耳とイヤパッド間の漏れの個人差や、減衰材の個体差等の影響が相対的に大きくなります。特に、耳とイヤーピースのフィッティングは個人差が大きく、これによる低域の音圧低下は著しい時があります。

     

    Airpods proがイヤーピース型に変更になったことによって、低域感が増す理由もこの原理によるものです。ぜひ知っておきましょう。

     

    ヒカキンも「AirPods Pro」のレビューを紹介

    ヒカキンのYoutube動画でも紹介されていますが、やはりノイズキャンセル機能が凄いと評価をしています。

     

    先ほどノイズキャンセルに関する特性を見て頂いたら一目瞭然ですが、実際に聴いてみても多くの人がノイズキャンセル機能のクオリティの高さに感動しています。

     

     

    優れたノイズキャンセルヘッドホンといえばBOSEのQC3(QuietComfort 3)が有名ですが、負けずと劣らずの性能になっています。なかなかヘッドホンを外でつける方も少ないと思うので、歩きながら味わえるのは素晴らしいですね。

     

    Airpodsの外観が似ている安い商品は完全に別物

     

    上のような、Airpodsの偽物がたまにAmazonで数千で販売されているのを目にしますが、まず購入をおすすめしません。

     

    理由は振動板や中のドライバーは全く別物です。振動板は特殊な紙振動板を使っていませんし、通信の安定性やノイズキャンセルなどの機能も全て低スペックです。ノイズキャンセル機能も一切ありません。

     

    この様に高音質を求めるなら安いからといって、外観が似ている商品を買っても安物買いの銭失いになるという理由も理解できるかと思います。

    まとめ

    #買って良かった2020」として本職であるスピーカ設計者の観点からイヤホンの動作原理から細かく解説しましたが、イヤホンの奥深さ・面白さを感じていただけたら幸いです。

     

    長々と説明しましたが最終的には自分が高音質を優先するのか、機能を優先するのかでイヤホンは決めるべきです。

     

    イヤホンを選ぶ際には単に評価が高いからではなく、どのような点に対して評価が高いのかが重要です。さらに、その評価が高い要素は自分のニーズと一致しているのかを意識するべきです。

     

    今回は人気も評価も高いAirPods Proをとりあげましたが、「低音感のあり、音の分離も優れた音質」「どんな環境でも音切れの無い安定した通信」「周りの音を遮断する優れたノイズキャンセル」という点からも最高峰の性能を有しているイヤホンです。

     

    約3万円という決して安い買い物ではありませんが、その分十分満足できる妥協の無い性能となっています。

     

    私自身、今まで仕事柄、何十本もの他社製のベンチマークをしてきましたが「Airpods Pro」は他のイヤホンと比べると別格だなと一瞬聴いてすぐ感じました。色々と性能の調査をすすめていくうちにその理由に納得ができました。

     

    ワンランク上の快適な音楽ライフを実現したいと思っている人にAirpods Pro」はぜひおすすめしたいBluetoothイヤホンの一つです。

     

     

    Airpods Pro以外のおすすめBluetoothイヤホンも紹介しています。

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