イタリアでの新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません。
イタリアで新型コロナウイルスに感染した死者がついに1万3千人を超えました。感染者数も11万人を超えている極めて深刻な状況です。
このような状況を受けて、イタリアでは外出禁止令も出され、ほぼ全ての経済活動がストップしています。イタリアの借金は2兆ユーロ(約240兆円)まで膨らんでおり、これは第2次世界大戦後最大とも言われています。万が一、イタリアが経済破綻したら世界経済への影響は甚大でギリシャの比ではないと予想されます。
では、いったいなぜイタリアでここまで感染拡大が進んでしまったのでしょうか。また、致死率が高い理由は一体なぜでしょうか。
新型コロナウィルスの死者数の多い国
新型コロナウィルスによる死者数は4月1日時点で既に中国を凌いでいる状況です。中国以外の国ではTOP5のうちイタリア、スペイン、フランスで死者が相次いでいます。
一方、イランでも感染拡大が進んでいる状況です。コロナウィルスの感染報道が始まった当初は韓国でも急激な感染拡大が進んでいましたが、現在では死者は100人程度に収まっている状況です。
最新の感染者数の推移はこちらのサイトがわかりやすいです。
データとグラフで見る「新型コロナウイルス」|日テレニュース24
イタリアでの爆発的な感染拡大はなぜ起こった?
そもそもどこから新型コロナウィルスが運ばれてきたのか
元を辿ると新型コロナウィルスは”武漢”が発症源になります。つまり、中国での感染者がイタリアに運ばないことには感染拡大は起こりえません。
イタリアには実はいわるゆる「華橋」と呼ばれる中国人が40万人以上います。
1975年には全土で400人に過ぎなかった華僑が年々増加し今の状況に至っています。農業、石工、衣料・皮革職人、飲食業などが中国人に依存しています。特にミラノを"イタリアにおける中国人の首都"にして様々な産業が発達してきました。
おそらくこの大勢の華僑(武漢人)によるイタリアー中国(武漢)間の飛行機による往来によってコロナウィルスが運ばれた可能性が高いと言えます。
おそらく爆発的な拡大は「春節=中国人のお正月」時に武漢に帰省した中国人が春節が終わりイタリアに戻ることにより、感染拡大に拍車を掛けたのではないかと予想されます。
40万人以上「華橋」と呼ばれる中国人の「春節」での大移動が感染拡大の原因の一つ
新型コロナウィルスの感染者の発見が遅れた可能性
最も感染が深刻なロンバルディア州の医師は
最初の患者は風邪と思って病院に来た。医師は対応後、十分消毒しなかった
と対応ミスがあったことを認めています。
1月時点で州内で肺炎患者が増えているとの報告があったとして、感染確認が遅れた可能性を示唆しました。つまりダイヤモンドプリンセス号でのクラスター感染でも問題となった時点ですでにイタリアでは感染拡大がじわじわと進んでいた可能性が高いです。
イタリアでは感染力の強い「L型」が流行
北京大学の研究者が新型ウイルスの遺伝子分析を行い、論文を発表しました。内容を要約すると、新型ウイルスが「L型」と「S型」と呼ばれる大きく2つのタイプに分類できるということです。
中でも、約7割を占める「L型」の方が感染力が強いとされ「S型」はコウモリから検出されたコロナウイルスの遺伝子と似ていおり、古くから存在していたようです。
イタリアでは感染力の高い「L型」が流行しており、感染拡大に繋がったと予想されます。
イタリアではコロナウィルスの「L型」が流行
イタリア含むヨーロッパでの習慣による原因
・手洗い、うがい、マスクの習慣が無い
・濃厚接触に繋がる「キス」や「ハグ」の習慣
イタリアに限ったことではないですが、ヨーロッパではまず手洗い・うがい・マスクの習慣がほとんどありません。
また、ヨーロッパ全土でトイレの後に手を石鹸で洗う人の率が一番高いのはトルコ(94%)、一番低いのはイタリア(57%)とオランダ(50%)だそうです。
ヨーロッパで感染者がもっとも少ない国はトルコ、もっとも多い国はイタリアになっています。複合的な要因が関係するので一概には言えませんが、因果関係が無いとは言い切れません。
また、ヨーロッパでは挨拶代わりに「キス」や「ハグ」をする習慣がありますよね。このように身体的に近寄る機会が多い習慣による「濃厚接触」で感染が拡大した可能性も高いと言われています。
ではイタリアではなぜ致死率が高いのか?
致死率の高さは複合的な要因が重なって結果的に高くなっていますので、断片的な情報だけでは判断し難いですが、関連性が高そうな項目をピックアップしました。
イタリア人には持病を持つ高齢者が多い
2016年発表の世界の平均寿命ランキング(2015年)
イタリアで「高齢化」が進んでいることが致死率が高い理由の一つに挙げられます。
2015年時の政界の男女の平均寿命ランキングでも致死率上位TOP5に入るイタリア、スペイン、フランスがランクインしています。平均寿命に関しては日本の方が高く、更にリスクが高いので注意が必要です。
実際に、イタリア政府が出してるデータでは
犠牲者の平均年齢が約80歳
感染者の平均年齢が約60歳
となっています。
一方で、死亡者の大半は新型コロナに感染する前、複数の持病を抱えていたことが分かっています。中でも「高血圧」が最も目立ち、「心臓疾患」や「糖尿病」が続いています。感染により生じた合併症で97%以上の大半を占めたのは「呼吸不全」でした。
また、イタリアでは「高齢者と暮らす家族が多い」です。同じ家に大人数で住むほど感染リスクはもちろんあがります。つまり、家族が感染して、高齢者にうつしてしまい感染拡大に繋がっている可能性も考えられます。
・イタリアは高齢大国かつ持病を抱える人も多い
・イタリアでは高齢者と暮らす家族が多い
イタリアでの喫煙習慣の影響
2000年~2016年までのイタリアの喫煙率
感染拡大が深刻な中国、イタリア、韓国のいずれも「男性」が多く、最も顕著なイタリアでは7割以上を占めるという。この原因としては「喫煙」習慣が男性の方が多いことが関係している可能性があるとされています。
イタリアの喫煙率は年々減少傾向にあり、2016年時点で27.8%となっています。ただし、3人に1人が喫煙していると考えると決して低くは無い数字です。
また、2019年のWHOのレポートによれば、中国人の喫煙率は約30%だが、男性50%、女性が2%で圧倒的に男性喫煙率が高い。実際に感染者数も男性は女性の約「3倍」となっています。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患にかかっている男性喫煙者は、新型コロナ感染症に対して防御的でないと懸念されています。
肺炎など重篤な呼吸器疾患を引き起こす新型コロナ感染症に、喫煙習慣が呼吸器に悪影響を及ぼすのは想像に容易いですね。
喫煙習慣がコロナによる肺炎症状を重篤化させやすい
イタリアでは既に「医療崩壊」が始まっている
現在イタリアでは、大勢の患者が病院に押し寄せ、医療水準が保てていない環境になりつつあります。つまり、患者の数が医療機関の対応能力を超えている状況になっています。
イタリアでは以前から、常に「病床数の少なさ」は社会問題にもなっており、まさに恐れていたことが現実になってしまいました。
イタリア・ミラノの看護師の話では
院内の医師や看護師などの2割が感染して自宅で隔離されている。ミラノは感染を抑えることができない状態に陥っている。コロナウイルスは感染率は非常に高く、私たちは死者の数を数えることさえ止めてしまった
と話しているほどに深刻な状況です。
イタリアでのコロナ感染者に関する統計情報まとめ
・感染者の全体の7割が50歳以上
・10歳〜50歳までは全体の25%
・致死率は60歳で11%,70代で35%,80代で40%
一方で、日本の高齢者人口(65歳以上)は全体の3割にあたる3588万人です。
日本でも同じ状況になった場合、医療崩壊を防ぐべく、身近に高齢者の親族がいる方はしばらく会わないようにする対策をしないといけません。
日本でも感染者数は日々増加しており、既に瀬戸際に来ています。PCR検査数に対する感染者数の割合が高くなっており、極めて危険な状況です。
感染リスクの高い場所は?
【集団感染リスクを抑えるためのお願い】
— 厚生労働省 (@MHLWitter) March 23, 2020
1. 換気の悪い密閉空間
2. 多数が集まる密集場所
3. 間近で会話や発声をする密接場面
この3条件が揃う場所は、集団感染の発生リスクが高まります。
皆さま、3つの「密」が同時に重なる場を、できるだけ避けていただくようお願いします。#新型コロナウイルス pic.twitter.com/89F80VFayw
私たちが今後感染拡大をコントロールし、早急に収束に向かわせるためには、外出時にせめて気をつけなければならないのは下記3つの条件にあてはまる場所に極力行かないことが大変重要です。
1. 換気の悪い密閉空間
2. 多数が集まる密集場所
3. 間近で会話や発声をする密接場面
私が大好きな「ライブハウス」も残念ながら当てはまってしまいます。満員電車もリスクが高いとされていましたが、会話を発するという状況を満たさなければ、多少リスクは低くなると考えていいようです。
アルコール除菌の代わりにもなる「次亜塩素酸水」に関しても解説
スマホ・マスクの除菌には「紫外線UV-C」除菌ケースが効果的です。
まとめ
今回イタリアを例にとり、感染拡大の原因と致死率の高い原因をまとめましたが、高齢大国である日本も実は他人事ではありません。特に持病を抱える高齢者の方は感染リスクが高いです。
日本ではまだ外出禁止にまでは至っていませんが、オリンピックも延期が検討されており、今後の状況次第ではイタリアと同じ状況に陥ってしまってもおかしくない状況です。
感染症の専門家もコロナの感染者数のピークはまだ来ていないと口を揃えていっている状況です。5月、6月にピークが来るのではないかと予想している方も多くいます。
引き続き油断を許さぬ状況に変わりはありません。しばらくはコロナ慣れしすぎず「・手洗い・うがい・マスク」を心がけ、感染リスクの高い場所には極力出歩かないようにするべきです。
外出時に一人での密閉空間でない「外」での単独行動なら基本はOKと考えていいかと思います。散歩、サイクリングなど考えれば色々あります。
うまく行動を考えつつ息抜きもしつつ、コロナウィルスの感染拡大を抑制していきたいものです。
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