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現役スピーカー設計者によるお役立ち情報発信ブログ

【HIFIMAN Deva Pro レビュー】平面駆動型&NEO"supernano"振動板を採用した低歪のワイヤレス化できるハイブリッドヘッドホン

Deva Pro

HIFIMAN JAPANから新発売となった平面磁界型ヘッドホン「Deva Pro」の実機レビューを紹介します。今回紹介するDeva Proは平面駆動型シリーズでDevaの後継機種となります。

 

結論からいうと「Deva Pro」は平面駆動型モデルの中では前モデルの「Deva」の機能を踏襲しつつ、アップデートしたイチオシのモデルになります。正直言って、衝撃を受けるほどの音質に仕上がっており、感動しました。

 

今回「Deva Pro」では、HIFIMA独自のNEO"supernano"振動板 (NsD) を採用することで、従来よりも80%も薄く、素早い信号応答と豊かで精細感のある音楽を再現しています。

 

2万~4万円台の小型ワイヤレスイヤホンでは到底到達できない圧倒的な音質差が十分に体感できます。振動板やハウジング容量が大きくでき、構造自由度の高いヘッドホンの方が構造上は音質面では圧倒的に有利になります。

 

こちらはDeva同様にBluemini R2Rを装着することで、ワイヤレス化も可能な有線と無線のハイブリッドヘッドホンになっています。

 

しかも、同等以上の音質・性能でありながらも値段は定価5万円台のDEVAから3万円台まで大幅に安くなっており、コスパは抜群と言えます。私はFostexの平面駆動型ヘッドホンTH500RPも持っていますが、こちらは当時、定価が8万円台でした。

 

「Deva Pro」もモニターライク音質で平面駆動型を採用することで、きわめて低歪で音の解像度の良いヘッドホンに仕上がっています。

 

さらに私が以前レビューしたHE400SEと比較すると、音の臨場感や広がり感、解像度がよりあがっていることをすぐに気づけただけでなく、部品それぞれもしっかりとした作りになっています。

 

今回は現役スピーカー設計者である私が設計者の観点から「Deva Pro」の魅力や平面駆動型のメリット、同じ平面振動板を採用しているHE400SEとの比較などを通じて実機レビューを紹介します。

 

 

 

オーディオに高音質を追求してみたい方へ向けて「ハイレゾ」について詳しく解説しています。

redo5151.hatenablog.com

オーディオメーカ「HIFIMAN」とは?

HIFIMAN

HIFIMANは、Fang Bian氏がニューヨークで2007 年に創設した会社です。早くからハイレゾオーディオの重要性に着目したオーディオ企業のひとつです。

 

HIFIMANはその功績が広く認められ2019年から一般社団法人日本オーディオ協会の会員となっています。

 

HIFIMANの製品はオーディオマニアを熱狂させたHE5平面駆動型ヘッドフォンを始めとして、高性能ヘッドフォンとポータブルオーディオを最も多く開発したメーカーのひとつとして認知されています。

 

平面駆動振動板の入門モデル「HE400SE」は以下で実機レビューしています。

redo5151.hatenablog.com

 

また、HIFIMANではヘッドホンだけでなく、ワイヤレスイヤホンも販売しています。

 

独自のトポロジー振動板を採用している「TWS800」もレビューしています。

redo5151.hatenablog.com

 

HIFIMAN 「Deva Pro」の基本スペック

Deva Pro



基本スペック 
ドライバー:平面磁界駆動型
ヘッドホンタイプ:開放型
能率:93.5dB
インピーダンス:18ohm
付属品:着脱可能バランス対応3.5mm端子付き標準ケーブル、Bluemini R2R
本体重量:360g

■Bluemini R2Rのスペック
周波数特性:20Hz~20KHz
アンプ出力(実測):230mW
アンプ出力(理論値):1125mW
SNR:118dB(USBモード)、97dB(ワイヤレスモード)
コーディック:「LDAC、aptx HD、aptx、ACC、SBC」ハイレゾ対応
Bluetoothバージョン:5.0
連続再生時間:8時間
充電端子:USB-C
重量:27g

Deva Proの実機レビュー(外観・デザイン)

Deva Pro

こちらがHIFIMAN「Deva Pro」の外観になります。

 

Deva Pro 口コミ

前モデルのブラウン基調の「Deva」とはがらりと配色がかわり、メタリック感があります。こちらは「HE400SE」と少し似ていますが、実物とよく比較すると違いがわかります。

 

Deva Pro」は従来の平面振動板より80%も薄型化!

Deva Pro レビュー

こちらの比較写真は左が通常の平面駆動振動板を採用しているHE400SEに対して、右が新発売となったNEO"supernano"振動板 (NsD) を採用している「Deva Pro」になります。

 

写真をみれば、薄くなっていることがよくわかるかと思います。

Deva Pro

こちらの比較写真も左が「HE400SE」に対して、右が「Deva Pro」になります。

 

見た目としては「HE400SE」が中心のハウジングが黒になっているのに対して、「Deva Pro」では全体的にメタリック基調で明るい印象です。さらにうっすら平面振動板が見えてカッコよく仕上がっています。

 

また、「Deva Pro」は薄い振動板を採用することで、筐体全体の厚みが薄くなっている一方で、振動板の面積は「Deva Pro」の方がひと回り大きくなっていることがわかるかと思います。

 

一般的に、振動板面積が広いことは「低域」の音を出すことが容易になることや、音圧が高くなるので、メリットが多いです。

 

3.5mmステレオミニケーブルとバランス(TRRS)ケーブルの両方に対応

Deva Pro ケーブル

ヘッドフォン側のケーブル端子は、左右両出しの3.5mmステレオミニケーブルと片側(左
側)は3.5mmバランス(TRRS)ケーブルの両方に対応しています。

 

Bluemini R2Rはヘッドホンの左側(L側)のケーブル端子に接続することで簡単に使用できます。 

 

またケーブル端子の先端はL型形状なので、プラグを挿入する面と水平になるので、断線のしにくい形状になっており、安心感があります。

 

Deva Pro ケーブル

こちらの写真は左がHE400seのケーブルで、右が「Deva Pro」になります。「HE400se」は通常のプラグ形状で、ケーブルがワイヤー線になっており、細くなっています。

 

オシャレ感は「HE400se」があるし、長く使う上では断線しにくく安心感があるのは「Deva Pro」です。

 

 

Deva Pro

イヤーマフの部分はスポンジ感が少なく夏でも蒸れにくく、冬はあったかいクッション性の高い素材になっています。こちらはおそらく「Deva」のカラー違いで同じ素材になっています。

 

装着感は耳へのフィット感も良好です。

 

Deva Pro

ヘッドバンド部分は合皮素材を使用しており、適度な反発力とクッション性があります。とても柔らかいので、長時間装着しても痛くなりません。

 

実際に「Deva Pro」を使ってみて感じたメリット

進化したステルスマグネット技術搭載で没入感のある高音質サウンド

Deva Pro 評価

HIFIMANのステルスマグネット技術は、音響的に透明度が高く、音波の完全性を劣化させる波動回折の乱れを劇的に減少させ、音波出力の精度を最大化させることができます。

 

ステルスマグネットに関しては後述しますが、独自の形状により、波がマグネット間を干渉することなく通過することができます。音色は詳細で透明感があり、録音の細部まで明らかにします。

 

新しいステルスマグネットの設計により、DEVA Proは従来より容易に駆動でき、より良いイメージング、堅固なビルドクオリティ、そしてより正確なサウンドステージを提供しています。

 

平面磁界型という低歪に特化した構造を採用することで、左右からでてくるそれぞれの音のクリアさは数千円のヘッドホンでは到底及ばないレベルだと、普段聴き比べをする機会が無い人でもすぐに感じられます。

 

まさに「ライブ会場にいるかのような包み込まれる没入感のあるサウンド」といえます。

 

ジャズやオーケストラを聞けば、音の分離の良さはすぐにわかるし、広がり感のある音質です。音の定位感もとても良いです。

 

HE400seでも感じられた通り、平面振動板ならではの全帯域がとてもナチュラルで、フラットです。繊細な表現も正確に鳴らす制動性も感じられ、開放型ならではの音場の広さもしっかり備えています。

 

音場の広さはHe400seをさらに上回るレベルになっています。

 

マイルドで包み込まれるような伸びやかなボーカルに高域も耳に刺さることなく、こちらもモニター用ヘッドホンとしても用途がありそうです。

 

今回はWOMCADOLEの「アオキハルヘ」、優里の「飛行船」、宇多田ヒカルの「Distance」、YOASOBIの「怪物」などいろいろ聞いてみましたが、原音を忠実に再生しており、音の定位感も良い感じでした。

「Deva pro」おすすめポイント①

・ステルスマグネット技術搭載で、音響的に透明度が高く、音波の完全性を劣化させる波動回折の乱れを劇的に減少させ、音波出力の精度を最大化
⇒つまり原音再生により近く、歪が低く、高音質!!

・平面磁界型構造を採用することで、「ライブ会場にいるかのような包み込まれる没入感のあるサウンド」。JAZZ、クラシックにもおすすめ。

・モニター用ヘッドホンとしても使える

ヘッドホンのワイヤレス化できる高性能なR2R DACドングル

Bluemini R2R

ヘッドホン端子に「Bluemini R2R」を装着することで、ワイヤレスヘッドホン化できます。

 

さらに、Bluemini R2Rドングルは、ワイヤレス接続だけでなく、接続するだけでスマートフォンなどの低消費電力機器で高性能な音質を実現する強力な統合DAC/アンプとしても使用できます。

 

コーディックは「LDAC、aptx HD、aptx、ACC、SBC等」でハイレゾ対応になっています。現在発売されているほとんどのハイレゾ対応ストリーミング機器に対応しています。

 

Bluemini R2R

再生時間は8時間となっており、充電端子は「USB-C」になっています。

 

Bluemini R2R

Bluemini R2Rは重量も「26.6g」ととても軽量です。そのため、装着しても重さは感じません。

「Deva pro」おすすめポイント②

・「Bluemini R2R」を装着することで、ワイヤレスヘッドホン化ができる!

・接続するだけでスマートフォンなどの低消費電力機器で高性能な音質を実現する強力な統合DAC/アンプとしても使用できます。

・コーディックは「LDAC、aptx HD、aptx、ACC、SBC」でハイレゾ対応

・重量が「約27g」で超軽量!

・充電端子は「USB-C」

Deva Pro」で搭載されている「平面駆動振動板」とは

平面駆動振動板

HIFIMANはもともと従来より平面駆動型ドライバーを搭載した開放型ヘッドホンが得意で、数々のヘッドホンを生み出してきています。今回の「Deva Pro」でも同様のドライバー機構が採用されています。

 

一般的なヘッドホンではコストが高くなりすぎてしまうため、平面駆動型を採用しているヘッドホンはほとんどありません。

 

この平面駆動型ドライバーはダイナミック型では音質面(特に振動板の分割共振領域における歪)で限界のある構造に対して一つの解決策を示してくれています。

 

こちらの平面駆動に関する解説は「He400se」のレビュー時にも同様に紹介しているので、すでに理解できている方は読み飛ばしてください。

 

基本的な原理は平面駆動振動板もダイナミック型と同じで、磁石のある部分にコイルに電流が流れ振動板が上下に振幅することで音が発生します。

 

通常のダイナミック型と大きく異なる点としては、「磁石やコイルの配列」です。

 

ダイナミック型スピーカ

ダイナミック型の構造では上の図のようにリング状の内磁もしくは外磁のフェライトかネオジマグネットが中央に配置され、その中のコイルに電流が流れることで振動板の中心部分のみが大きく振動します。

 

そのため、ダイナミック型構造では、振動板の形状や材料の剛性などに大きく左右され、振動板の分割共振が発生しやすい構造になっています。

 

平面駆動振動板

平面駆動振動板は平面の振動板に対して全体にコイルが配置されており、「全体に均一振幅するので、分割振動が発生しにく」というメリットがあります。

 

形状的にはフラットなので剛性の弱い振動板ではどうしても歪につながる分割共振は発生してしまうのですが、HIFIMANのではその辺りにもノウハウを持っておりうまく設計しています。

 

従来から平面駆動型ヘッドホンは多く存在していますが、中でもHIFIMANの平面駆動型ヘッドホンはマグネットの配列や形状までこだわり、音質の劣化をうまく防いでいます。

 

平面駆動振動板 

具体的には、冒頭で少し触れた「ステルス・マグネット」がHIFIMANのセールスポイントで、平面振動板(縞模様の板)の前に棒状の磁石が七本均等な感覚で配置されています。こちらの画像はHE400SEなので、磁石の数が異なっている可能性があります。ただし、考え方は同じと思っていただいて構いません。

 

枠組みに棒磁石を透明なレジンで強固に接着していることからも振動板と棒磁石のあいだの隙間を正確に組み付ける事がノウハウになっています。

 

隙間が狭いと振動板が前後に動いたときに接触してしまうし、離れすぎていては効果が薄れて能率も悪くなってしまいます。

 

このように「Deva Pro」でも搭載されている平面駆動型ドライバーはHIFIMANの高い設計技術が活かされて生まれた技術の集大成ともいえます。

「Deva Pro」の気になる点

Bluetoothバージョンが少し古く5.0

Bluetoothバージョン

最近のほぼ大半のワイヤレスイヤホンはBluetoothのバージョンが5.2に対応していますが、Bluemini R2Rはまだ5.0のままでした。

 

このBluetoothの5.0と5.2のバージョンの主な違いとしては、「LE Audio機能」が追加されている点です。

 

LE Audio

LE Audioの特徴 

・LC3コーデック
・マルチストリーム
・ブロードキャスト
・LE Power Control
・より高度なセキュリティ機能

カンタンにまとめると、Bluetooth5.2では、安全性を高めつつ省エネとマルチ接続が強化されています。

ペアリング方法(iPhoneの場合)

ペアリング方法(iphone
①R2Rの電源ボタンを長押しして起動し、2回ボタンを押す
②設定
BluetoothをON
④「その他のデバイス」を選択
⑤「HIFIMAN BLUEMINI R2R
」を選択
⑥「ペア設定をする」を選択
STEP
設定画面をひらく(iphoneの場合)
MPOW M7 ANC ペアリング
STEP
BluetoothをONにする
MPOW M7 ANC ペアリン
STEP

「HIFIMAN BLUEMINI R2R」をタップ

R2R ペアリング



はじめてBluetoothで再生機器に接続するときには、電源ボタンを1~2秒間押し
て電源を入れます。

 

青色のライトが2回点滅して電源が正常にオンになったことを示したら、電源ボタンを2回押してペアリングモードに入れます。するとライトは青と緑の交互に点滅します。

 

この時点で再生機器のBluetooth接続リストを確認します。 再生機器側の接続ボタンをクリックしてペアリングを完了します。

 

iphonr以外の機器でも同様の接続方法でペアリングが可能です。

まとめ

今回は高音質重視のワイヤレスイヤホンを探している方へ向けてHIFIMAN JAPANから新たに発売となった「Deva Pro」の実機レビューを紹介しました。

 

「Deva Pro」は平面駆動型モデルの中では前モデルの「Deva」の機能を踏襲しつつ、値段も抑えつつ、グレードアップしたメイン用のヘッドホンとして十分満足できる音質に仕上がっていおすすめモデルになります。

 

もし、平面駆動振動板の音質をもっと手軽な値段で楽しみたい人は「HE400SE」でまずは試してみるのもいいかと思います。

 

それでも「Deva」の価格帯からくらべればコストは安くなっている分、全モデルで手が出せなかったオーディオマニアの方にはぜひ本モデルを試してもらいたいイチオシのヘッドホンです!

 

 

 

他にもワイヤレスイヤホンのレビューを紹介しています。

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