HIFIMAN JAPANから新発売となったヘッドホン「HE400se」の実機レビューを紹介します。今回紹介するHE-400シリーズは平面駆動型シリーズで最安のエントリーモデルです。
結論からいうと「HE400se」は平面駆動型モデルの中では低価格帯に位置づけされる高級ヘッドホンのエントリーモデルと言えます。一部のオーディオマニアの中で話題にもなっており、口コミ評価も非常に良いモデルになります。
モニターライク音質で平面駆動型を採用することで、きわめて低歪で音の解像度の良いヘッドホンに仕上がっています。
平面駆動型ヘッドホンの中でも1万円台というコスパ最強モデルの一つともいわれています。
今回は現役スピーカー設計者である私が設計者の観点からも平面駆動型がなぜ低歪になるかについての原理も詳しく解説しました。
- オーディオメーカ「HIFIMAN」とは?
- HIFIMAN HE400seの基本スペック
- HE400seの実機レビュー(外観・デザイン)
- 実際に「HE400se」を使ってみて感じたメリット
- HE400seの高音質の秘訣は「平面駆動振動板」にあり
- HE400seの気になる点
- HE400seの口コミ・評価
- まとめ
オーディオに高音質を追求してみたい方へ向けて「ハイレゾ」について詳しく解説しています。
オーディオメーカ「HIFIMAN」とは?
HIFIMANは、Fang Bian氏がニューヨークで2007 年に創設した会社です。早くからハイレゾオーディオの重要性に着目したオーディオ企業のひとつです。
HIFIMANはその功績が広く認められ2019年から一般社団法人日本オーディオ協会の会員となっています。
HIFIMANの製品はオーディオマニアを熱狂させたHE5平面駆動型ヘッドフォンを始めとして、高性能ヘッドフォンとポータブルオーディオを最も多く開発したメーカーのひとつとして認知されています。
HIFIMANではヘッドホンだけでなく、ワイヤレスイヤホンも販売しています。
独自のトポロジー振動板を採用している「TWS800」もレビューしています。
HIFIMAN HE400seの基本スペック
HE400seの実機レビュー(外観・デザイン)
IFIMAN HE400SEの外観箱です。パッケージのデザインから高級感が漂っていますが、実際には平面駆動型で2万円アンダーなので低価格帯になります。
私はFostexの平面駆動型ヘッドホンTH500RPも持っていますが、こちらは定価が8万円台でした。(※現在は4万円台で購入可能です)
オーディオマニア向けのヘッドホンが沼と言われる所以の一つです。
HE400seの同梱品は
同梱品はヘッドホンケーブル(3.5mm端子、1.5m)と6.35mm標準端子アダプター(装着済み)、ヘッドホン本体とマニュアル、保証書です。
ヘッドバンドは低反発の分厚いクッションになっています。表面は合皮だと思いますが、変にずれたりすることも無く、装着感は良い感じです。
前モデルHE400に対してもクッション性がアップしています。装着感はクッション性も良く、耳へのフィット感も良好です。
気になる点としては、外周部は合皮なので、それなりには長持ちするかと思いますが、耳と直接触れる内側部分はベロア素材になっており、長く使っているうえでの耐久性は気になるところです。
ベロア素材のイヤーパッドについては好みが分かれるところですが、皮脂がベタベタと目立つことはないので私は好きです。
夏は蒸れやすいですが、合皮素材より快適です。
実際に「HE400se」を使ってみて感じたメリット
1万円の価格帯とは思えない高音質サウンド
なんといっても、ヘッドホンの中ではこの低価格帯でこの音質でいいの?と思わざるを得ないほどのコスパに感動しました。
音質は平面振動板ならではの全帯域がとてもナチュラルで、フラットです。繊細な表現も正確に鳴らす制動性も感じられ、開放型ならではの音場の広さもしっかり備えています。
マイルドで包み込まれるような伸びやかなボーカルに高域も耳に刺さることなく、長時間リスニングにももってこいです。モニター用ヘッドホンとしても使えるのではと周波数特性を測定してみたくなりました。
適度な低音感も耳障りがよく、「この曲を聞いてみたらどう聞こえるのかな?」と次々と試したくなる感覚に陥りました。
オーディオのレビュアーとしてマニアの間では有名なSandal Audioさんも
もう一つ上(HE400seより)のヘッドフォンが欲しくなった場合、約4万円ほどのSandaraや、約10万円のAnandaでは大きなアップグレード感は得られない
と仰っており、高評価を得ています。
今回は東京事変の「群青日和」やKingGnuの「ベッドタウン」、米津玄師の「春雷」、YOASOBIの「アンコール」などいろいろ聞いてみましたが、どれも変なクセが無く原音を忠実に再生しており、音の定位感も良いので、音の鳴る方向がしっかりと感じとれました。
実際に、私が所有している定価8万ほどのFostexのTH500RPと比較しても同等まではいかずとも1/3以下という価格を考慮しても、十分満足できるレベルに仕上がっています。
マニュアルによると、最適な音質を得るまでにはエージング(慣らし)に少なくとも150時間は必要だと書かれており、まだまだ伸びしろがあるようなのでこれからのエージングによる音質の変化も楽しみです。
HE400seの高音質の秘訣は「平面駆動振動板」にあり
HIFIMANはもともと従来より平面駆動型ドライバーを搭載した開放型ヘッドホンが得意で、数々のヘッドホンを生み出してきています。今回のHE400seでも同様のドライバー機構が採用されています。
ここからは少し専門的な話をします。
基本的な原理は平面駆動振動板もダイナミック型と同じで、磁石のある部分にコイルに電流が流れ振動板が上下に振幅することで音が発生します。
通常のダイナミック型と大きく異なる点としては、「磁石やコイルの配列」です。
ダイナミック型の構造では上の図のようにリング状の内磁もしくは外磁のフェライトかネオジマグネットが中央に配置され、その中のコイルに電流が流れることで振動板の中心部分のみが大きく振動します。
そのため、ダイナミック型構造では、振動板の形状や材料の剛性などに大きく左右され、振動板の分割共振が発生しやすい構造になっています。
平面駆動振動板は平面の振動板に対して全体にコイルが配置されており、「全体に均一振幅するので、分割振動が発生しにく」というメリットがあります。
形状的にはフラットなので剛性の弱い振動板ではどうしても歪につながる分割共振は発生してしまうのですが、HIFIMANのHE400seはその辺りにもノウハウを持っておりうまく設計しています。
従来から平面駆動型ヘッドホンは多く存在していますが、中でもHIFIMANの平面駆動型ヘッドホンはマグネットの配列や形状までこだわり、音質の劣化をうまく防いでいます。
具体的には、「ステルス・マグネット」がHIFIMANのセールスポイントで、平面振動板(縞模様の板)の前に棒状の磁石が七本均等な感覚で配置されています。
枠組みに棒磁石を透明なレジンで強固に接着していることからも振動板と棒磁石のあいだの隙間を正確に組み付ける事がノウハウになっています。隙間が狭いと振動板が前後に動いたときに接触してしまうし、離れすぎていては効果が薄れて能率も悪くなってしまいます。
HE400seの気になる点
ケーブルが細いのは気になるがリケーブル(着脱)可能
正直ケーブルに関してはヘッドホンケーブルにしては細くて断線しやすそうだなという心配もありますが、リケーブル対応なので万が一断線しても替えがきく点は安心感があります。
・ケーブルが細く断線しやすそう
・イヤーマフの内側のウレタンの耐久性が気になる
高級ヘッドホンに片足を突っ込んだ音質のわりに、ケーブルやイヤーマフなど少しチープな部分もあるものの全体的には値段をふまえると合格点だと納得できるなという感想です。
HE400seの口コミ・評価
he400seは名機すぎる
— 酔いの日 (@inofishmusic) June 21, 2021
今年からイヤホンヘッドホン生活をスタートしてたら
— ふらが@怠惰@ (@Fraga_t) June 24, 2021
Sennheiser IE100 Pro
HIFIMAN HE400se
だけでもかなり満足感ありそう。
IE100Proは曲よっては刺さりひどすぎて無理ってなるかもだけど…
HIFIMAN HE400se 着弾!
— te28 (@te28_0) June 18, 2021
ヘッドホンデビューです!!
NOBUNAGA Labs 吹割 着弾!
NOBUNAGA Labsデビュー
です!!
まぁ、吹割は使えませんが、、、^^;
しかし外箱がデカい。(^^)
娘の部屋から使ってないヘッドホンかけるヤツ?取ってきた。 pic.twitter.com/ENXxf7ik0R
he400seをちょーと使ってだいぶ
— sho@ヘッドホン垢 (@sho75446254) May 24, 2021
購入時の興奮による、自分のエージングが済んで来たので
改めて感想は
いいじゃね普通にw
以上 pic.twitter.com/hdG1RpkrfL
HIFIMAN HE400seとSUNDARAとANANDAを視聴したよ。
— kacchi25 (@kacchi25) June 4, 2021
HE400seは平面駆動のエントリーとして凄く良い。音の広さはK701とかよりもやや優れてる気がしたよ。でも音の濃さが弱くて物足りないよ(周波数帯域が狭い)。自分は7万円出してANANDA欲しいと思ったけど、万人におすすめできるのはHE400seかな。 pic.twitter.com/6ppqK945wH
このように口コミ・評判は非常に良いです。特に値段のわりに音質が良いので満足感が得られている方が多いようです。一方で、人によっては少し重く感じるといった人もいるようです。
まとめ
今回は高音質重視のワイヤレスイヤホンを探している方へ向けてHIFIMAN JAPANから発売となった「HE400se」の実機レビューを紹介しました。
実際に私も愛用機の一つになっており、中高域を気分よく聞きたいときには「HE400se」を使ってます。
口コミ評判も非常に良く、オーディオ沼にすでに使っている方にはぜひとも一度体験してもらいたいなとも思う音質バランスの良いヘッドホンでした。
細かい部品の耐久性などは少し気になるものの、音質だけなら一万円台で高級オーディオの部類にも片足を突っ込んでいるとも言えます。オーディオマニアの入り口へぜひ飛び込んでみましょう!
HE400seのアップグレード版であるHIFIMANの新ヘッドホン「DevaPro」の実機レビューしてます。
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